クラウド(といっていいかわからないが・・・)、ファーストサーバで大きな事故が起きてしまってから、だいぶたった。

どうして起きた、なぜ起きた?も興味があるところだが、
サービスを提供している側が、もしなんかあったときに、
どのような責任が発生するのかを知らないと、必要以上に怖がってしまったり、
もしくは逆に、軽視してしまうおそれがあります。

あの事故を通して、様々な記事を見てきたが、
非常によい記事を見たのでお知らせしておきます。

気を付けたい、クラウド事業者選び: バックアップは誰の責任? ファーストサーバ事件が残した教訓

がその記事です。
会員登録しないと全文は見えませんが、この記事からリンクしてあるスライドショーの資料でもほぼ同様の内容(ただし解説が多少へっています。)を見ることも出来ます。
ホスティング、クラウドにおけるデータ消失に関する法的検討 ~ファーストサーバ事件を素材として

法律っぽい内容なので、
単なる技術者がここまでの内容まで知る必要があるのか?とも思う方もいるかもしれませんが、
いろいろな用語に技術用語が使われているために、
会社によっては技術者しか読み解けないというケースもあります。
今後ITエンジニアはだれでもサービスに何らかの形で関与することもあるために、
知っておいて損はない知識だと思います。

約款と免責

「約款」と「免責」という言葉は、一般人には遠い話にも聞こえますが、
保険商品を購入していればだれでも関係があります。
自動車に乗っていれば、ほぼ、任意保険に入りますので、かなり多くの人にとって実は身近です。
(私自身はあまり抵抗がないのは保健会社に自分自身働いていたからかもしれませんが・・・)

で、約款とは、保険で話をすれば、どのようなときに「保険金」を受け取ることができるか?
などをしめした、商品の内容と言えばいいでしょう。
クラウドなどの場合でも「機能」については言及していることもあると思いますが、
「非機能(パフォーマンスとか、稼働率とか・・・)」について言及しています。
なので、実はそこを読めることは非常に大切です。
たいていの場合には、「やらないこと」、「できないこと」、「しらないこと」など、
一般消費者にとってはいいわけみたいな事が書いてあります。
営業ではいいことしか言ってはくれませんが、悪いことというか、利用者にとって都合が悪いことを知るには、
ここを読む必要があります。
いいわけと言っても、提供する側からすれば、無条件での提供はあり得ないので、仕方がないことです。
それに、ある利用者には不都合でも、自分が不都合かは別問題です。
もちろん、その逆もあるわけですから・・・

で、次に「免責」ですが・・・
これも保険で話をすれば、どのような時に「保険金」が支払われないか?です。
たとえば、自動車保険(車両保険)でよくあるのが、被害損額が10万円までは免責事項となっていれば、
自動車の修理代に10万までは支払ってね。という事です。
これ以外にも、あんな場合も、こんな場合も支払いません。
という事が書いてあります。

クラウドなどのサービスもそうですが、ソフトウェアなどの利用許諾書には、
「実損害額と、利用料金の低いほうをお支払いします。」
のように書いてあることを見かけます。
まあ、無料のサービスの場合には、「実損害額」がいくらかかっても、
「利用料金」=「ゼロ」な訳ですから、免責として金銭としては何も利用者に保証されないという訳です。

「債務不履行」と「不法行為」

このような用語が使われる事は私は初めて知りました。
たしかに、なるほどです。

「債務不履行」というと、個人的にはお金を返せなくなったということをイメージしてしまいます。
つまり、「貸したお金を返せ!」「いや、返せん。すまん」って話です。
サービスの場合には、「やると言ってサービスをやらなかった」という事です。

たとえば、サービスで障害が発生したときに、「やる!」って言ったのに、やらなかったから起きた障害だ!
という場合には、これが「債務不履行」を訴えていることになります。
ちなみに、「債務不履行」だと言われた場合には、訴えられた側が自分に落ち度がないことを立証する責任があります。
変な話、「俺はやる!って言っていないよ」と言うことが立証できれば、「債務不履行」ではないという事です。
債務不履行で無い場合には、顧客になんら保証をする必要がない訳です。
または、顧客が行うはずのことをやらなかったために起きたものは、「自業自得」だ!と言われても仕方がないということになってしまうわけです。

じゃ、あーだこーだと「約款」を出してきたらいつも守られるのは「事業者側」なのか?
と言えば、そうでないのが、「不法行為」です。

これは、すごく乱暴に言えば、「おまえわざとだろー」という言葉にすればわかりやすいと思います。
たとえ、どんなに権利自体が正当であろうと、不法に権利を得ようとしているならば、それは無効ということです。
「保険金詐欺」などがこの「不法行為」に当たるのだと思います。
この「不法行為」かどうかの立証は訴えた側にあります。

つまり、サービスで利用者が事業者に対して保証を求める場合には、この「債務不履行」による請求か、
「不法行為」によるものか?があるわけです。
まあ、「不法行為」と言っても必ずしも、「悪意」があるから「不法」であるとも限りません。
「飲酒運転」も「脇見運転」も「不法」な訳です。
つまり、「過失の度合い」が出てくるわけです。
「そんな事もしらねーのかよ」も過失なわけです。
「そんなこと」が妥当か妥当ではないかは、時代背景も関係してきてしまうわけです。

サービス提供者として気をつけること

サービス提供者は、「約款」や「サービス規約」で責任の軽減について、
いくら記述をしていても、それは逃れるための免罪符ではないという事です。

ファーストサーバでは、今後の再発防止策で当たり前の事をキチンとするハメになりました。
当然ですが、コストアップでしょう。

当初は、コストの関係からそれらを省き、安い価格で提供していたのかもしれませんが、
問題が起きてしまえば、その価格は将来に対する借金だったということを認識する訳です。
(もしくは、やらないとキチンと明記することもあるかもしれませんが、それはまず無いでしょう。)

ここまで、大げさではありませんが、IT系のサービスをやっているとこのような事はよく出てきます。

・規模が小さいのでやらなくてよかったこと
 (監視の自動化とか、やらなくても問題が無いこと。)

・知識・経験が無いからわからなかったこと
 (電気が提供されないってことも、そういえばあるね。)

・時代背景の移り変わりにより必要になってしまうこと
 (ファイアーウォールなんて2000年時代にサービスとしてあることが当たり前でしたっけ?とか)

今自分たちのサービスは将来に対する借金(債務不履行は言い過ぎかもしれませんが・・)によって成り立っている部分がどの程度ありそうか?
ということをはかれるようにしておくことが大切です。
一方で、規模のコストダウンもありますので、これらをうまく相殺していくことを考えればいいのだと思います。

サービスをやっていると、実は大変なのが、「うまくいってしまった」時だと思います。
そのとき、これらのことを知らないと、先に進めず困ってしまうことがあります。

せっかく、いいサービスを信じて作っている訳ですから、
それを取り巻く法律的な事も知っておくことは大きなアドバンテージになると思います。
(本当は必要最低限と言いたいのですが・・・)

最後に、この文章の「免責」です。
この文章は、正確な法的な根拠と理解の元に記述されたものでありません。
このことによる受けた、いかなる損害も筆者は保証しません。

ってな感じで締めくくりたいとおいます。

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