Archive for 2010/2/11
さて、年末によんだ、「ザ・ゴール」と「ザ・ゴール2」がなかなかおもしろかったので、
今回は、その第3弾の話だ。
たしかに、この「制約理論」は面白い。
「チェンジ・ザ・ルール」、「ルールを変えろ」とは・・・あまりにも、正論すぎやしないだろうか?
今まで、この手の本といえば「信じれば変われる!」とか「あなたが変われば、周りが変わる」とか、とにかく、宗教じみた論調で読者を説得しようとしていたと思うが、この「制約理論」は、こういう問題を真っ向から、「理論」「理屈」として取り組もうとしているところが面白い。
今回は、舞台がERPのソフトウェア会社ということで、ソフトウェアを携わる人間としては、非常に親近感がもてて読めた。
そのためなのか、3冊目という事だからか、「ザ・ゴール」・「ザ・ゴール2」を読んでいて感じた違和感がなく、「おっ、始まったな」という感じで読めた。
ストーリーの概要は、amazonの「商品の説明」を読めばわかる事なので、ここでは記述しないが私が持っていたいくつかの疑問や、感じていた事が少しわかってきた気がした。
ちょっと話はそれるが、自分がいつも気にしているのはこういうことだ。と周りに話してきたことがある。
ある娘と、お母さんがクリスマスにだす七面鳥を調理していた。そこで、お母さんは七面鳥を半分に切って、2回に分けてオーブンに入れて調理をしていた。そこで、娘は疑問に思ってお母さんに聞いてみた。「なぜ、七面鳥を半分づつにして焼くの?」
お母さんは「昔からそうやっていたのよ。なぜかしらね。きっとそっちのほうがおいしくなるんじゃないかな?おばあちゃんに聞いてみたら?」
そこで、おばあちゃんに娘は聞いてみるとこう答えた。
「昔はオーブンが小さくてね。半分にしないと入らなかったのよ。」
と。。。。
この話をどこでいつ読んだのか忘れたが、確か学生の頃かもしれない。
でも、働き出して、特に「製品」という枠組みの中でソフトウェアを作りだすと、このようなことを疑問に思うことが非常に大切だと思ってきた。
だが、なぜそれが大切なのか?きちんと説明してくれ。と言われたら言えない。
また、もうひとつ、「製品」を作れる会社と作れない会社がある。
技術的にそれほど違いがない。ただ、作れる会社では「カスタマイズ」をやたらめったらしない。
それが、どうしてできるのか?もしくはそれがどうしてできないのか?
(まあ、私も、営業・周りのエンジニアと戦った。なぜ、できることをやってくれないんだ!協力してくれない!と何度クレームを言われたことか。)
私の中では「やらない」という制約がある中で、考えたほうがよりいい考えができるという程度しか認識がなかった。(人は制限という中から新しい発見をしてきたのだから・・・)
でも、この本を読んでもうちょっと、「理論的に納得がいく」形で理解ができた。
まず1つめは、この本の中ではこんなセリフがあった。(ちょっとかいつまんで・・・)
「新しいテクノロジーを導入するという事は、そこまでそこに限界があったという事を意味する。その限界と長い間、共存してきて、それに合わせて習慣・評価尺度・ルールなどを作ってきた。
そして、新しいテクノロジーを導入して、限界が軽減された。そうすると、それまでの習慣・ルールが今度は限界を課すことになる。」
なーるほど。これは確かに。
つまり、先ほどの七面鳥でいえば、「大きさ」という限界があったが、大きなオーブンにして限界を取り除いていたのに、それを習慣として受け入れたお母さんの考え方自体が制限を生み、結局、オーブンを大きくしても、小さくしても変わりない。
それどころか、「システムの良い提案は、システムにしないこと」などと比喩されるように、この制限をそのまま考えていたら、大きなオーブンのために余計に電気(お金)がかかってしまう。
つまり、システムで制約が限界であったとき、それを取り除いたら、取り除いたようにルールを変更しなければ、限界を取り除く前より、価値(パフォーマンス)が下がるときがある。という事だ。
2つめ。ここの本の会社は、TOCを利用し大成功をおさめた。そして、他の会社が内情を知っても他社は真似できないだろうとこういうのだ。それは・・・
「たとえ我々のプログラムの中身を彼らにコピーさせたとしてもすぐにあれも、これもと機能を追加し始めるに違いない。現場での使い勝手など一切無視だ。」
エンジニアとして技術がついてくるとつい、顧客の言ったことに反応しあれこれと答えてあげてしまう。つまり、カスタマイズしてしまうのだ。
これは、実際に売っているほうとしても顧客が言ったことが、すぐに回答できて気持がいいことだろう。
しかし、先ほど言ったように、「限界をなくす」=「ルールを変える」が必要になってしまう。
じゃないと、技術で成功しても、顧客に成功はない。
これができるのは、私が考えられるのは2つ。
そして、この本でもほぼ同じことを言っていると思う。
1)そのルールや習慣が変えられるほどの衝撃的なテクノロジーの進歩を伴ったツール。
最近ではインターネットなどはその典型的な例だろう。
したがって、その進歩に乗っかっていけば、ある程度は「ルール」などといった面倒なこととは表面上は付き合わなくて済む。それに、派手でカッコ良くもあるので、見栄えもいい。
2)自らルールを変えるための手法と論理を持ち合わせ、そのために自己改革ができる組織。
つまり、このTOCを実行できるとなるわけだ。(まあ、そのために書いた本なのだから当たり前なのだが・・・)
ただ、テクノロジーが、あまりにも人の理解を超えて進みつつある。
そして、限界になっていない限界を破ろうとやっきになっている感もある。
今のIT企業は(1)を目指して頑張っているのかもしれないが、この不況になってみて成功している会社は(2)の会社ばっかりという気がしてくる。
じゃ、どうして、「簡単ですぐできること」がみんなできないのか?
「単純」=「簡単」=「楽」
「複雑」=「難解」=「たいへん」
という呪縛や思い込みから人は逃れられないからじゃないだろうか?
人間にとって一番いやなことは、「苦痛」や「苦労」ではなく、「自己否定」を伴う行動が一番いやらしい。
「複雑」で「難解」そうな問題がシンプルかつ楽に解決できたら、それは今までの自分が「無能」であることや、やってきたことが「無駄」であることを認めなければいけなくなる。
こんな、自己否定は誰だっていやだ。

